MPLSからの移行方法

MPLSへの依存が制約になることがよくあります。MPLSから、柔軟性と拡張性に優れ、セキュアでコスト効率のよいネットワークアーキテクチャへ移行するステップを紹介します。

学習目的

この記事を読み終えると、以下のことができるようになります。

  • MPLSからより柔軟なネットワークアーキテクチャへ移行する理由を説明する
  • MPLSからSD-WANへの移行の主要ステップを列挙する
  • MPLSからSASEへの移行の主要ステップを列挙する

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記事の概要:

  • 現在のネットワークトポロジーと帯域幅を文書化して、パフォーマンスのベースラインを確立します。その上で、ハイブリッド環境をサポートするプロバイダーを選択し、MPLSの移行をスムーズに行えるようにします。
  • 場所に縛られた固定的な回線の置き換えとして、SD-WANまたはSASEを実装します。このモダナイゼーションによって、拡張性の向上と運用コストの削減が実現し、分散したクラウドファーストのワークフォースにとってはアプリケーションパフォーマンスが高速化します。
  • 支社オフィスの移行には、ブロードバンドのエニーキャストGREまたはIPsecトンネルを利用します。レガシー専用回線を廃止する前に、クラウドで提供されるネットワークサービスとゼロトラストセキュリティへ、トラフィックを徐々に移行します。

MPLSからの移行方法

マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)は、支社オフィスを接続しながら、安定性とサービスレベルの予測可能性を提供します。しかし、静的な性質上、現代の働き方やクラウドコンピューティングには適さず、特にワークフローへの人工知能(AI)統合には不向きです。

ネットワークの柔軟性、拡張性、安全性を高めるため、大企業はMPLSからSD-WANSASE(SASEはゼロトラストセキュリティの原則をネイティブに統合)などの代替ネットワーキングモデルへ移行して、ネットワークをモダナイズするのが一般的です。SD-WANへの移行は2010年代に多くの企業で行われましたが、今日の企業は、SD-WAN単体では限界があると感じ、SASEへの直接移行によってモダナイゼーションをさらに進めようとしています。

ネットワークモダナイゼーションは、数週間または数か月にわたる集中的なプロセスになる可能性もありますが、以下のメリットをその後何年にもわたって享受できます:

  • 接続の簡素化
  • アプリケーションパフォーマンスとネットワークパフォーマンスの高速化
  • 拡張可能なセキュリティ
  • 俊敏性の向上
  • 運営コストの低減

MPLSからSD-WANへの移行方法

1. 現在のネットワーク設定を評価して文書化

帯域幅のニーズ、ビジネスクリティカルなアプリケーション、ネットワークトポロジーを文書化します。SD-WAN移行の初テストで比較基準となるネットワークパフォーマンスのベースラインを記録することが重要です。

2. SD-WANプロバイダーを選択

ベンダーによって提供される機能やサポートレベルが異なります。ビジネスクリティカルなアプリケーションのサポートをはじめ、必須サービスを提供するベンダーを選びます。

MPLSから移行できないクリティカルなシステムやインフラストラクチャがあるケースも少なくありません。SD-WANへの部分的移行でも、ネットワークの多くの部分を最適化するのに役立ちます。このようなケースでは、ハイブリッドネットワーク環境をサポートできるベンダーを選択する必要があります。

3. 移行計画を作成

移行対象ネットワークの将来の状態を定義し、その状態に到達するために取るべきステップを特定し、ネットワークのどの部分を最初に移行すべきかを決定します。移行のスケジュールを組みます。

4. 移行を実行

ステップ3で作成した計画に従って、ネットワークをSD-WANプロバイダーへ切り替え始めます。まず単一のブランチネットワークを移行し、パフォーマンステストを実施した後に、ネットワークの他の部分を移行するのが一般的です。新しいネットワークへ完全に切り替えるまで、レガシーシステムをバックアップとして維持します。

5. 移行後のパフォーマンスを監視

レガシーシステムを完全に廃止する前に、新しい設定でのパフォーマンスがステップ1で文書化したベースラインを上回っていることを確認します。

SD-WANの進化形としてSASEが登場した理由

SD-WANはネットワークモダナイゼーションにおける次の段階という考えが一般的ですが、単体ではパフォーマンスとセキュリティのギャップが多く、それが引き続き成長を阻害する可能性があります。特に問題なのは、SD-WANが人の接続でなく建物の接続を想定して設計されている点です。そのため、SD-WANだけに依存すると基本的に場所に縛られた接続になります。これは、多くの現代企業の業務形態を考えると理想的とは言えません。SASEモデルは、場所に依存したルールを適用するのではなく、ユーザーがオフィスのデスクにいても移動中でも変わらない統一のポリシーとエクスペリエンスを提供します。

セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)は、ネットワークモダナイゼーションにおける次の論理的なステップです。SASEには、柔軟なソフトウェア定義のネットワーキングモデルに加えて、セキュリティも組み込まれています。ネットワーク接続と包括的なゼロトラストセキュリティを単一の統合プラットフォームに集約したクラウドベースのアーキテクチャです。

MPLSからSASEへの移行方法

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1. ユーザーからアプリへのアクセスをモダナイズ

VPNで提供される広範なアクセスではなく、ゼロトラストネットワークアクセス(ZTNA)の制御によって、ユーザーがアクセス権限を有する特定のアプリだけに接続するポリシーへ切り替えます。SASEは、柔軟性を確保するために、専用回線に限らず幅広い接続方法を用います。そのため、内部データ、アプリケーション、ネットワーク、ユーザーは、場所や接続方法に関係なく保護される必要があります。まずは以下から始めましょう:

  • クリティカルアプリケーションに多要素認証(MFA)を適用
  • クリティカルアプリケーションへのアクセスにゼロトラストポリシーを適用
  • メールトラフィックに高度なフィッシングフィルターを適用
  • アプリケーション配信のためにインターネットに開放されたすべてのインバウンドポートを閉鎖
  • グローバルなDNSフィルタリングで高リスクのリクエストをブロック

2. 専用回線をブロードバンドインターネットアクセスに置き換えてブランチ接続

ここでの目的は、専用回線からクラウド型ネットワークサービスに切り換え、ネットワークトラフィックやアプリケーションを、VPNやブランチネットワークのオンプレミス型ポイントソリューションではなくZTNAで保護することです。ステップは以下の通りです:

  1. まず、MPLS接続された2つの拠点を選択し、インターネット接続を確保します。
  2. それらの拠点におけるネットワークパフォーマンスを測定して、ベースラインを確立します。
  3. クラウドベースのWANまたはサービスとしてのネットワーク(NaaS)のプロバイダーを選択します。
  4. インターネット回線上に、エニーキャストで冗長化した一対のGREトンネルまたはIPsecトンネルを構築して、クラウドWANプロバイダーのネットワークへ接続します。(固定の地点ではなく、最寄りの健全なデータセンターへトラフィックをルーティングするエニーキャストは、特に信頼性の懸念の解消に有効です。)
  5. それらのトンネルのパフォーマンス(スループット、遅延、パケットロス、ジッター)をテストします。
  6. ルーティングポリシーを変更して、本番トラフィックをMPLSからインターネットトンネルへ移行します。
  7. 次のMPLS接続拠点でも上記を繰り返します。
  8. 必要に応じてMPLS回線を廃止します。

3. クラウド環境を保護

ここで、上記と同様のプロセスでマルチクラウド環境を接続します:

  1. まず、クラウド環境を1つ選び、アプリのパフォーマンスを測定してベースラインを確立します。
  2. クラウドベースのWANプロバイダーまたはNaaSプロバイダーへ、接続を確立します。
  3. この接続でパフォーマンスをテストします。
  4. ルーティングポリシーを変更し、クラウドの本番トラフィックをWAN/NaaSプロバイダーを介して移行します。
  5. すべてのクラウド展開について上記を繰り返します。
  6. 次に、Multi-Cloud Networkingなどのサービスを利用して、クラウドのすべてのデータとワークロードを検出し、管理し、保護します。

4. ハードウェアアプライアンスと専用回線を廃止

すべての組織が、オンプレミスのインフラストラクチャやハードウェアベースのネットワークとセキュリティを完全に廃止するところまで到達できる(あるいは到達したいと考える)わけではありません。しかし、SASE移行は、そこへ到達し、遅延を最小限に抑えつつ柔軟性と拡張性を高める機会になります。

Cloudflareを使ったMPLSネットワークモダナイゼーションの方法

Cloudflare のコネクティビティクラウドは、世界中のあらゆる場所に安全で高速かつ信頼性の高いサービスを提供し、新しいビジネス要件に容易に対応します。その仕組みは以下の通りです:

  • Cloudflareは、お客様のエッジルーター(顧客構内設備)とCloudflareネットワークとの直接ピアリングを可能にすることで、BGPトラフィックを処理します。これによって静的ルートが不要になり、動的フェイルオーバーが可能になります。
  • お客様は、既存の接続(GREトンネル、IPsecトンネル、またはCloudflare Network Interconnect(CNI)経由)でBGPセッションを確立します。
  • お客様のルーターが、内部プレフィックス(支社オフィスのサブネットなど)をCloudflareへアドバタイズします。
  • 次に、Cloudflareが、世界に335か所以上あるデータセンターのすべてにおいて、Cloudflare Virtual Networkのルーティングテーブルを更新します。

ネットワーキングとセキュリティにCloudflareを活用し、事業継続性の強化とユーザーエクスペリエンスの向上、運用コストの削減を実現しましょう。Cloudflareを使ったネットワークモダナイゼーションの開始方法を紹介します。

 

よくある質問

従来のマルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)ネットワークが現代企業ではあまり有効でないのは、なぜでしょうか?

MPLSは支社オフィスに信頼性の高い接続を提供しますが、設計が柔軟性に欠けるため、クラウドコンピューティングの需要や日常業務への人工知能(AI)導入に対応しきれません。現代の業務環境では、静的なMPLSネットワークが提供できる以上の柔軟性が求められます。

最新のネットワークアーキテクチャへアップグレードすることの主な利点は何ですか?

レガシーシステムからの移行は、アプリケーションパフォーマンスの向上、接続の簡素化、俊敏性の向上を可能にします。さらに、ビジネスに合わせて拡張するセキュリティと、全体的な運用コストの削減も可能です。

セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)モデルとソフトウェア定義広域ネットワーキング(SD-WAN)は、どう違うのでしょうか?

SD-WANは、主に物理的な建物を接続するために構築されたため、ユーザーが特定の場所に制限される可能性があります。対照的に、SASEはネットワーキングとゼロトラストセキュリティを組み合わせたクラウドネイティブのフレームワークです。そのため、従業員が支社、自宅、または出張先のいずれで勤務していようとも、一貫したセキュアなエクスペリエンスを提供できます。

SD-WANへの移行を開始する際、どのような初期ステップをとるべきでしょうか?

まずは、現在のネットワークトポロジー、帯域幅の要件、最重要アプリケーションを文書化してパフォーマンスのベースラインを確立することからプロセスを開始します。その上で、自社特有の技術的ニーズに合わせたプロバイダーを選択しなければなりません。特定のレガシーシステムを維持するためにハイブリッドな構成が必要な場合は、特に注意します。

支社オフィスをSASEベースのモデルに移行する際は、どういったプロセスを推奨していますか?

まず、いくつかの拠点でインターネット接続を確立し、パフォーマンスのベースラインを測定することから始めます。クラウドベースのプロバイダーを選択したら、トラフィックをルーティングするためのセキュアなエニーキャストGRE/IPsecトンネルを作成します。これらのトンネルをテストし、本番トラフィックがインターネットベースの新しい通信経路へ正常に移行すれば、古い専用回線は廃止できます。