サイバー攻撃を完全に防ぐことはできませんが、「予防」から「レジリエンス」へと発想を切り替えることで、その被害を最小限に抑えることができます。
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サイバー犯罪者は人工知能(AI)などの高度な手口を使うようになり、企業はそのような攻撃への対策にますます苦慮するようになっています。予防策は不可欠ですが、すべての脅威を排除することはできません。人、データ、デバイスを守るためには、事業継続性と復旧を優先する新しいアプローチが必要です。「サイバーレジリエンス」を持つこと、つまり攻撃を受けても、その間機能を維持しつつ、迅速かつ調整されたレスポンスを実行することが求められます。そのためには、従来のように攻撃を拒むのではなく、脅威が存在することを前提にして備えるという、事後対応型ではなく事前対応的という新しい発想のセキュリティ対策が必要です。
サイバーレジリエンスは、技術的な戦略であると同時に組織としての考え方でもあります。完全にサイバー攻撃を防ぐことは難しく、ほぼ不可能になりつつあるため、サイバーレジリエンスでは、攻撃に耐え、回復する能力を高めることに焦点が当てられています。
サイバー攻撃を未然に防ぐことに注力する企業とは異なり、サイバーレジリエンスを採用する企業は、サイバーセキュリティ侵害が避けられないものであることを認識し、そのため、発生時に生じる可能性のある被害を軽減することに専念しています。目標は、業務をできる限り円滑に遂行しつつ、被害を封じ込め、影響を受けたシステムを修復するために、企業的な防御を展開することです。
サイバーレジリエンスの概念において重要なのは、実際の侵害や侵害時をシミュレーションしたパフォーマンスを分析し、それに応じてツールや手順を強化することです。
サイバー攻撃を防ぐことはさまざまな理由からますます難しくなる一方、攻撃対象領域は拡大し、脅威件数は増加し、その検出は困難になり続けています。
その顕著な例はフィッシングです。メールのような従来の攻撃経路に加えて、悪意のある攻撃者は、テキストメッセージ、電話、ボイスメール、QRコードなどの新たな攻撃経路からフィッシング攻撃を仕掛けています。これらはそれぞれ、スミッシング、ビッシング、クイッシング攻撃として知られています。同時に攻撃者はAIと自動化を駆使して攻撃を容易に拡大し、最大限のスピードと最小限の労力で大量のメッセージを配信しています。
サイバー犯罪者はインターネットからSNSのプロフィールや音声データを探し出し、AIエージェントがそれを利用して、本物のように見えるだけでなく、特定の個人宛にカスタマイズした内容や文章を作成することができます。
フィッシングはランサムウェア攻撃の入り口となることが多く、Verizonの『2025年データ漏洩調査報告書』によると2024年には37%もの割合で増加しています。さらに、ダークウェブに潜む攻撃者たちは「ランサムウェア・アズ・ア・サービス(RaaS)」ソフトウェアを販売しており、経験の浅い犯罪者でもマウスをクリックするだけで同じような攻撃を簡単に行えるソフトを入手できるようになっています。
攻撃対象領域が広がっている理由のひとつは、エッジで稼働するインターネット接続機器が増えていることです。企業も対応しようと努力していますが、Verizonの報告によると、エッジデバイスの脆弱性のうちパッチ適用を実施しているのはわずか54%に留まっています。
絶え間ない脅威を止めることは、大規模な軍事ドローン攻撃と戦うようなもので、どんな防御をしても、攻撃の数があまりにも多いため、その一部は必ず突破されてしまいます。
だからといって、諦めずに立ち向かうことが重要であり、注力とリソースの一部を「予防」から「レジリエンス」へとシフトすべきなのです。
サイバーレジリエンスを高めるためには、組織はシステムだけでなく人も含めて、危機への備えをより徹底する必要があります。サイバーセキュリティを「災害復旧計画」に組み込むだけでなく、社員の日常業務の中に根付かせることを意味します。そのための具体的な3つの提案を以下に示します:
1. 統合プラットフォームでセキュリティを簡素化する
最初のステップは、具体的には、バックアップシステム、ファイアウォール、エンドポイント保護、暗号化システムなどの技術環境を常に最新の状態にして万全な状態を保つことです。同時に、IT担当者は、脅威をいち早く察知して拡散を防ぐ方法を常に模索する必要があります。
両方の目標を達成する最善の方法は、可視性と管理能力を高めることです。システム、ネットワーク、アプリケーションを常に監視して修正やパッチが必要な脆弱性を発見して対処することで、侵入者が攻撃に悪用する隙を与えないようにします。また、独自のルールを強制できる共通の管理機能を備えた統合プラットフォームを採用することで、異なる規格の複数のサードパーティ製ツールに頼ることなく、より迅速な対応が可能になります。
優れた制御能力と監視能力を備えることで、ITチームとセキュリティチームの負担を軽減し、危機発生時に対応できるだけの余裕を持たせることができます。さらに、攻撃の発生場所や内容に関するリアルタイムの情報を受け取ることができるため、チームはより的確かつ早急に攻撃を阻止することができます。
2. セキュリティトレーニングを日常的で実践的なものにする
危機に耐え、対応できる技術を整えることはサイバーレジリエンスにおいて重要ですが、それと同じくらい重要なのが「人」です。チームは、業務の一部として問題を発見して報告する手順を知っている必要があり、いつものやり方で情報、アプリケーション、デバイスにアクセスできない場合の業務の進め方についても理解している必要があります。
年次セキュリティトレーニングは有用ですが、あまり実用的でなく感じられたり、開催頻度も低いため、インシデント発生時に従業員が対応方法を覚えているとは限りません。そこで、推奨する方法は、従業員を手順を学ぶオープン形式のディスカッションに定期的に参加させることで、リスクトレーニングをパーソナライズし、組織文化として定着させることです。手順について自由に意見を話す場を設け、指示が分かりにくい点について従業員の声を聞くことで、手順の改善につながる良い提案が得られることもあります。
危機対応の準備をより現実的で身近なものにするためには、シナリオに基づく訓練、例えば、ランサムウェア攻撃のような複雑な状況を想定し、チームで対応を実践・リハーサルを行います。サイバーセキュリティは全員の共有責任であるため、技術系従業員だけでなく非技術系従業員も対象としたトレーニングを行ってください。
最後に、組織の研修や教育で使うセキュリティの枠組みや用語は、できるだけ簡単にすることを心がけましょう。サイバーセキュリティとサイバーレジリエンスをより親しみやすくすることで、チームがそれらを正しく実行できる可能性が高まります。
3. ゼロトラストとSASEのセキュリティプラクティスでネットワークアクセスを制御
サイバーレジリエンスのもう一つの重要な要素は、ネットワークの保護です。これにはゼロトラストが有効です。ゼロトラストは、状況や職務の役割に応じてネットワークへのアクセスを細かく制限する仕組みです。たとえば、ニューヨークに拠点を置く会計士が午前3時にブカレストからログインしようとしたり、機密情報が詰まった大規模なデータベースをダウンロードしようとした場合、システムはさらなる認証を要求するか、アクセスを遮断してセキュリティ部門に警告を送ります。
ゼロトラストはネットワークをより小さく管理しやすいセグメントに分割することも特徴で、これにより不正アクセスが発見しやすくなり、これ以上広がらないように移動を制限して攻撃を封じ込めることができます。ネットワークを家に例えた場合、ゼロトラストによるセグメント化により、侵入者が開いている窓から屋内に入っても、単一の部屋のみにアクセス可能となり、家全体を自由に動き回ることはできません。
ゼロトラストの特に優れた点は、技術的専門知識の有無にかかわらず、誰もがサイバーセキュリティにアクセスし、実行できるようになることです。ゼロトラストはセキュリティの考え方を根本から変え、複雑な境界型防御から、シンプルな一つの原則「決して信頼せず、常に検証する」に置き換えます。
より明確なロードマップを知りたい方のために、貴社のサイバーレジリエンスを強化するために何ができるかについて、簡単な概要を以下に示します。
サイバー攻撃は高度化し、数も膨大なため、すべてを未然に防ぐことはできません。しかし、適切なツールを導入し、従業員にその使い方を理解させることで、攻撃による混乱を減らし、脅威を早期に発見し、重大な被害が出る前に阻止することが可能になります。
ゼロトラストを戦略の要にする必要があります。Cloudflareのセキュアアクセスサービスエッジ(SASE)プラットフォームを利用することで、その第一歩を踏み出すことができます。このクラウドネイティブな統合プラットフォームは、ゼロトラストとネットワーキングのサービスを組み合わせて、ネットワーク内およびエッジにあるすべてのユーザー、オフィス、データセンターをセキュアに接続します。
IT効率を高めつつ、サイバーリスクを低減する方法については、CloudflareのSASEプラットフォームをご覧ください。
いいえ。サイバーセキュリティが攻撃を防ぐことを目的としているのに対し、サイバーレジリエンスは攻撃を受けても業務を止めず、効果的な対応を調整することに重点を置いています。つまり、攻撃による被害を最小限に抑え、素早く立ち直ることを目的としています。そのため、サイバーレジリエンスには、回復のための手順の整備やシステムの脆弱性へのパッチ適用の計画も欠かせません。
サイバー脅威は進化し、より高度化し、被害も深刻化しています。サイバーレジリエンスを高めることで、攻撃を受けた際のダウンタイムを減らし、より組織的かつ的確に対応できるようになります。
一言で言えば、より良いツールを使用し、より良いトレーニングを提供することです。
脅威をリアルタイムで可視化できるセキュリティ情報とイベント管理(SIEM)システム、脅威インテリジェンスプラットフォーム、エンドポイント管理ソリューションを使用することで、脅威の内容を理解し、迅速に対応できるようになります。また、ネットワークセグメンテーションにより、脅威をより迅速に見つけ、侵入者の横移動(ラテラルムーブメント)による被害拡大を防ぐことができます。さらに、セキュリティ手順を自動化することで、従業員の負担を軽減し、インシデント対応のスピードアップを図ることができます。
実際のフィッシング、ランサムウェア、DDoS攻撃などの脅威を想定した実践型のシナリオベースのトレーニングをお試しください。主体的に学ぶことで記憶に残りやすくなり、セキュリティ手順を実践することへの責任意識を植え付けることができます。
ファイアウォール、エンドポイント保護、バックアップシステム、その他のセキュリティ技術を定期的に更新してください。また、ゼロトラストの枠組みを採用することで、ネットワークアクセスをより適切に管理し、可視性を高めることができます。さらに、インシデント対応計画を見直して最新の状態に保ち、システムを定期的にテストして脆弱性を発見し、修正することも重要です。
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